1話:旅立つ者

では、1話ですよ。
西暦20XX年。人が地球という星が青い時、一人の青年が普通に過ごしていた。
彼の名は「アルス」。ごく普通のどこにでもいる青年だった。
4月、それも風のない快晴の日に青年の運命は一転する。
「暇だな~。なんか、面白いこと起きないかな~。」
家にいたアルスはバイトを終えて家でゴロゴロしていた。
アルスには親がおらず、現在は養子としてある老夫婦に引き取られていた。
階段をお爺さんが上って、「アルスや、少し手伝ってくれんかの?」といわれアルスは半ばいやそうにしながらも、渋々手伝いをすることにした。
「この木材を運んでくれんかの?」
「へいへい。」
アルスは簡単な木材を1つ担ぐと、お爺さんに指定された場所に持っていき、「ゴト」という音を立てておろした。
「ん?」
アルスは地面に落ちていた1枚の簡単な紙切れを見つけた。そこにはこう書かれていた。
――新たなる場所。光をもと……。
過ぎ去る日……、ちか…く……。
ア……ヴァー・ミ……様…。この………。――
随分古いのか、まったくわからなかったアルスは、
「爺さん。こんな紙切れ落ちていたぞ。」
といい、爺さんにその紙切れを渡した。
「ほう、どれどれ…。」
お爺さんはその紙切れをまじまじと見つめると、急に強張った面持ちになったが、直ぐに元の顔に戻り、
「ごめんよ、アルス。わしにはわからん。」
「そうか。」
お爺さんはアルスにその紙切れを返すと、
「さあさ、まだ終わってないぞ~。」
「分かってるよ。」
―――夜更け。
アルスはあの紙切れを捨てられずにいた。
「絶対に、この紙切れは何かを指している…。爺さんがあんな強張った顔をするんだ、絶対に何かある。」
だが、あれこれ思考を重ねても全く分からなかった。それどころか、どんどん謎が深まるばかりだった。
時が過ぎ、もうすぐ世紀が変わるころ。
いつも通り、アルスは老夫婦と共に年を越す準備をしていた。
「結局、あの謎は解けなかったなぁ…。」
そう落胆していると、突然家のチャイムが鳴った。「はーい。」とお婆さんが返事をすると、玄関の方に行った。
しばらくすると、
「アルス、あんたにお客さんだよ。」
「俺に?」
「いつの間にこんな人と付き合っていたんだい?」
「はぁ?」
といい、視線を変えると1人の女性がそこに立っていた。それも、見たことない服装を着て。
「誰だ?あんたは?」
とアルスが問いかけると、その女性はアルスの目の間に座った。
それを見て老夫婦は、まるで得意先が来たかのように礼儀正しく座った。
「夜分遅くに申し訳ありません。急ぎの用だったもので…。」
「だから、あんたは誰だっつうの。」
「申し遅れました。私はこの星から遥か300光年離れた惑星“アリアドネ”から来たものです。」
え?何?アリ…なんだって?
突然わけのわからない惑星の名前を出した女性は、頭を地に伏せて、
「お願いします!私たちの星を救ってください!!」
といきなり懇願した。それを見て慌てて頭を上げてくれと説得する老夫婦ですが、アルスは名前も知らない女性にいきなりそんなことを言われて、「いきなり救えって言われてもなぁ…。」と凄く間抜けに考えていた。「てか、世界を救う?俺が?」そんな考えを巡らせていると、女性は急に慌てて、
「す、すいません!まだ名乗ってませんでしたね。」
「うん。そうだね。」
「私の名前は、アーデル・H・アルメルニアです。“アリアドネ”では、惑星外探査を担当しています。」
アルスは思った、「そもそも、なんで日本語喋れるんだ?」と。だが、日本語ではなかった。何故なら、老夫婦は全く理解していない様子だったからだ。「アルス」という名前を聞いて、咄嗟にアルスの友達だと思ったのだろう。そう思ったアルスは、「やれやれ。」と思いながらも、その女性がなぜ自分を尋ねたのかに疑問を持った。
「んじゃ…、えーっと…。アーデル…。」
「アーデルで結構ですよ。」
「ああ。んじゃ、アーデル…さん?なんで、俺の力が必要なんだ?俺はこんなところでぬくぬくしている、ただの青年だぞ?」
「実は、古い文献にあなたの名前が載っていたんです。」
そんなに有名人だったか?俺…?てか、今「古い文献」って言ったか?
「数々の功績、そしてたなびく銀髪、伝説の逸話にそっくりです!!」
「バカだコイツ!!」一瞬でアルスはそう思ったが、口に出さなかった。確かに、自分は銀髪だし、どことなく似ているといえばそう思えた、一部を除いて。
「因みに、その文献に載っていた名前は?」
「はい!アルス・ヴァー・ミンガム様です!」
脳裏に激震が走った。そして、「そうか、そういうことか…。」というと、アルスはいきり立って飛び出し、あの紙切れを持って来てアーデルに見せた。
「この…紙切れ…何か…わかるか?」
「………………。」
アーデルはまじまじと見つめていると、不意にお爺さんが固く結んでいた口を開いて、
「最早、これまでか…。」
「?」
「アルスよ。わしらが隠していたものを見せよう…。」
「ですが…!あなた…!」
「もう、隠しても仕方ないんじゃ、婆さん。」
お爺さんはどこか悲しそうな眼を見せながらも、決意の固まった眼を見せ後ろの襖に手をかざした。
「これを…、見なさい…。」
思いっきり襖を引くと、1本の綺麗な刀が鞘と共に地面に刺さっていた。
「こいつは、いったい?」
お爺さんは堅い口を開いて、紙切れに書いてあった言葉を言った。
――新たな場所。光を求めて幾星霜。
過ぎ去る日々は数知れず、近づく破滅の音。
我滅びようとも、希望一筋御霊に捧げん。
アルス・ヴァー・ミンガム様に、栄光あれ。
この世を救う、一筋の光とならんことを。――
唖然とするアルス、泣き出すお婆さん、まだまじまじと見つめるアーデル。
だがアルスはお爺さんの言葉に違和感を持った、
「なぁ、それってどういうことだ?てか、なんかいろいろ付け足してないか?」
「今言ったのは、その紙切れの全文じゃ。今ではもう面影もないがのぅ…。」
お爺さんはそういうと目頭を押さえて涙をこらえている。当のアルスは自分の存在が気になってしょうがないため催促した。すると、しゃくり上げた声で、
「アルスよ、アーデルさんにわしらの言葉が伝わるよう、この言葉を言いなさい。」
というと、手帳のようなものを差し出してくる。見たことの無い字だったが、なぜかアルスには読むことができた。
「えーっと…。え、エンプライス?なんだこれ?」
この言葉を聞くと、お爺さんは、
「アーデルさん聞こえますかな?」
「え!?あ、はい。」
驚いた。なんと、アーデルが返事を返したではないか。アルスは「どういうことだ?」と聞くとお爺さんは、
「“呪文”じゃよ。」
といった。
「“呪文”だって!?あの、ゲームの中に出てくる?」
「そうじゃ。」
いたって真面目な顔をしているので、喜んでもいられなかった。いや、むしろ喜べなかったのだ。
それから、お爺さんはその言葉の意味、顛末、刺さっている剣についてすべてを話した。アルスは驚愕し言葉に出せなかった。アーデルも口を手で覆い、ただ驚愕しているようだった。
しばらくして、アルスは、
「つまり、古い文献に書いてあった人物も俺ってか?」
「……そうじゃ。」
「マジかよ…。」
それを聞いてアーデルは、
「えっと…。では、アルス様は一体何者なのですか?」
と尋ねると、
「神の子孫じゃ…。」
「はぁぁぁぁ!!!!???もうぶっ飛んだ発言にはうんざりだぞ!爺さん!」
「本当じゃ!信じてくれ!!」
「信じるもくそも、証拠がないじゃねえかよ!証拠がよ!」
「証拠か?証拠なら、この剣が物語っておる。」
というと、いきなり剣のほうに向かうと、柄を握りしめた。
バチバチ!という音が鳴り、お爺さんは柄から手を離した。
「この剣は…ゲホゲホ…お前さんじゃないとつかめないのじゃ…。」
「何を…言ってんだ?」
「手に取ってみよ、そして確かめよ、自分の存在を…。」
半信半疑ながらも、恐る恐るアルスは柄を握りしめる。
すると打って変わり、まるでもうすでに持っていたかのような感覚に襲われた。そして、キーンという音が辺りに響き渡った。それと同時に、アルスは何かに憑りつかれた様に首をだらんと下げている。
―――数分後。
アルスは一気に剣を抜き、鞘に収めた。
「アルス…。」
「爺さん、今までありがとうな。」
というと、
「アーデル。」
「は、はい!」
「その話、受けさせてもらうぜ。」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、目的もわかったことだしな。」
「目的?」
というと、アルスは静かにコクリと頷いた。
「行くんじゃな。」
「ああ。」
「そうか…。なら、これを持っていきなさい。」
というと、何かの機械と紅に染まったお守りを渡してきた。
「この機械は、お前さんの目的を示してくれるものじゃ。」
「このお守りは?」
「これはお前さんがもともと持っていたものじゃ。」
見るとしっかり自分の名前が刻まれていた。
「そうか…。」
「気を付けてな。」
「何かあったら、遠慮しないでここに戻っておいで。」
「勿論。」
外に出ると2人乗り用だろうか、車のような飛行機のようなものがそこにあった。
「私が乗ってきた宇宙船です。“アリアドネ”には5時間でつきます。」
「意外とかかるんだな…。」
「そりゃそうですよ、300光年ですからね。」
とか言いながらも、どこかその表情は笑って見えた。2人は船に乗ると、
「出発です!」
アーデルはそう言い舵を引いた。かくして、少年は旅立ったこれから起こることも知らずに…。
彼の名は「アルス」。ごく普通のどこにでもいる青年だった。
4月、それも風のない快晴の日に青年の運命は一転する。
「暇だな~。なんか、面白いこと起きないかな~。」
家にいたアルスはバイトを終えて家でゴロゴロしていた。
アルスには親がおらず、現在は養子としてある老夫婦に引き取られていた。
階段をお爺さんが上って、「アルスや、少し手伝ってくれんかの?」といわれアルスは半ばいやそうにしながらも、渋々手伝いをすることにした。
「この木材を運んでくれんかの?」
「へいへい。」
アルスは簡単な木材を1つ担ぐと、お爺さんに指定された場所に持っていき、「ゴト」という音を立てておろした。
「ん?」
アルスは地面に落ちていた1枚の簡単な紙切れを見つけた。そこにはこう書かれていた。
――新たなる場所。光をもと……。
過ぎ去る日……、ちか…く……。
ア……ヴァー・ミ……様…。この………。――
随分古いのか、まったくわからなかったアルスは、
「爺さん。こんな紙切れ落ちていたぞ。」
といい、爺さんにその紙切れを渡した。
「ほう、どれどれ…。」
お爺さんはその紙切れをまじまじと見つめると、急に強張った面持ちになったが、直ぐに元の顔に戻り、
「ごめんよ、アルス。わしにはわからん。」
「そうか。」
お爺さんはアルスにその紙切れを返すと、
「さあさ、まだ終わってないぞ~。」
「分かってるよ。」
―――夜更け。
アルスはあの紙切れを捨てられずにいた。
「絶対に、この紙切れは何かを指している…。爺さんがあんな強張った顔をするんだ、絶対に何かある。」
だが、あれこれ思考を重ねても全く分からなかった。それどころか、どんどん謎が深まるばかりだった。
時が過ぎ、もうすぐ世紀が変わるころ。
いつも通り、アルスは老夫婦と共に年を越す準備をしていた。
「結局、あの謎は解けなかったなぁ…。」
そう落胆していると、突然家のチャイムが鳴った。「はーい。」とお婆さんが返事をすると、玄関の方に行った。
しばらくすると、
「アルス、あんたにお客さんだよ。」
「俺に?」
「いつの間にこんな人と付き合っていたんだい?」
「はぁ?」
といい、視線を変えると1人の女性がそこに立っていた。それも、見たことない服装を着て。
「誰だ?あんたは?」
とアルスが問いかけると、その女性はアルスの目の間に座った。
それを見て老夫婦は、まるで得意先が来たかのように礼儀正しく座った。
「夜分遅くに申し訳ありません。急ぎの用だったもので…。」
「だから、あんたは誰だっつうの。」
「申し遅れました。私はこの星から遥か300光年離れた惑星“アリアドネ”から来たものです。」
え?何?アリ…なんだって?
突然わけのわからない惑星の名前を出した女性は、頭を地に伏せて、
「お願いします!私たちの星を救ってください!!」
といきなり懇願した。それを見て慌てて頭を上げてくれと説得する老夫婦ですが、アルスは名前も知らない女性にいきなりそんなことを言われて、「いきなり救えって言われてもなぁ…。」と凄く間抜けに考えていた。「てか、世界を救う?俺が?」そんな考えを巡らせていると、女性は急に慌てて、
「す、すいません!まだ名乗ってませんでしたね。」
「うん。そうだね。」
「私の名前は、アーデル・H・アルメルニアです。“アリアドネ”では、惑星外探査を担当しています。」
アルスは思った、「そもそも、なんで日本語喋れるんだ?」と。だが、日本語ではなかった。何故なら、老夫婦は全く理解していない様子だったからだ。「アルス」という名前を聞いて、咄嗟にアルスの友達だと思ったのだろう。そう思ったアルスは、「やれやれ。」と思いながらも、その女性がなぜ自分を尋ねたのかに疑問を持った。
「んじゃ…、えーっと…。アーデル…。」
「アーデルで結構ですよ。」
「ああ。んじゃ、アーデル…さん?なんで、俺の力が必要なんだ?俺はこんなところでぬくぬくしている、ただの青年だぞ?」
「実は、古い文献にあなたの名前が載っていたんです。」
そんなに有名人だったか?俺…?てか、今「古い文献」って言ったか?
「数々の功績、そしてたなびく銀髪、伝説の逸話にそっくりです!!」
「バカだコイツ!!」一瞬でアルスはそう思ったが、口に出さなかった。確かに、自分は銀髪だし、どことなく似ているといえばそう思えた、一部を除いて。
「因みに、その文献に載っていた名前は?」
「はい!アルス・ヴァー・ミンガム様です!」
脳裏に激震が走った。そして、「そうか、そういうことか…。」というと、アルスはいきり立って飛び出し、あの紙切れを持って来てアーデルに見せた。
「この…紙切れ…何か…わかるか?」
「………………。」
アーデルはまじまじと見つめていると、不意にお爺さんが固く結んでいた口を開いて、
「最早、これまでか…。」
「?」
「アルスよ。わしらが隠していたものを見せよう…。」
「ですが…!あなた…!」
「もう、隠しても仕方ないんじゃ、婆さん。」
お爺さんはどこか悲しそうな眼を見せながらも、決意の固まった眼を見せ後ろの襖に手をかざした。
「これを…、見なさい…。」
思いっきり襖を引くと、1本の綺麗な刀が鞘と共に地面に刺さっていた。
「こいつは、いったい?」
お爺さんは堅い口を開いて、紙切れに書いてあった言葉を言った。
――新たな場所。光を求めて幾星霜。
過ぎ去る日々は数知れず、近づく破滅の音。
我滅びようとも、希望一筋御霊に捧げん。
アルス・ヴァー・ミンガム様に、栄光あれ。
この世を救う、一筋の光とならんことを。――
唖然とするアルス、泣き出すお婆さん、まだまじまじと見つめるアーデル。
だがアルスはお爺さんの言葉に違和感を持った、
「なぁ、それってどういうことだ?てか、なんかいろいろ付け足してないか?」
「今言ったのは、その紙切れの全文じゃ。今ではもう面影もないがのぅ…。」
お爺さんはそういうと目頭を押さえて涙をこらえている。当のアルスは自分の存在が気になってしょうがないため催促した。すると、しゃくり上げた声で、
「アルスよ、アーデルさんにわしらの言葉が伝わるよう、この言葉を言いなさい。」
というと、手帳のようなものを差し出してくる。見たことの無い字だったが、なぜかアルスには読むことができた。
「えーっと…。え、エンプライス?なんだこれ?」
この言葉を聞くと、お爺さんは、
「アーデルさん聞こえますかな?」
「え!?あ、はい。」
驚いた。なんと、アーデルが返事を返したではないか。アルスは「どういうことだ?」と聞くとお爺さんは、
「“呪文”じゃよ。」
といった。
「“呪文”だって!?あの、ゲームの中に出てくる?」
「そうじゃ。」
いたって真面目な顔をしているので、喜んでもいられなかった。いや、むしろ喜べなかったのだ。
それから、お爺さんはその言葉の意味、顛末、刺さっている剣についてすべてを話した。アルスは驚愕し言葉に出せなかった。アーデルも口を手で覆い、ただ驚愕しているようだった。
しばらくして、アルスは、
「つまり、古い文献に書いてあった人物も俺ってか?」
「……そうじゃ。」
「マジかよ…。」
それを聞いてアーデルは、
「えっと…。では、アルス様は一体何者なのですか?」
と尋ねると、
「神の子孫じゃ…。」
「はぁぁぁぁ!!!!???もうぶっ飛んだ発言にはうんざりだぞ!爺さん!」
「本当じゃ!信じてくれ!!」
「信じるもくそも、証拠がないじゃねえかよ!証拠がよ!」
「証拠か?証拠なら、この剣が物語っておる。」
というと、いきなり剣のほうに向かうと、柄を握りしめた。
バチバチ!という音が鳴り、お爺さんは柄から手を離した。
「この剣は…ゲホゲホ…お前さんじゃないとつかめないのじゃ…。」
「何を…言ってんだ?」
「手に取ってみよ、そして確かめよ、自分の存在を…。」
半信半疑ながらも、恐る恐るアルスは柄を握りしめる。
すると打って変わり、まるでもうすでに持っていたかのような感覚に襲われた。そして、キーンという音が辺りに響き渡った。それと同時に、アルスは何かに憑りつかれた様に首をだらんと下げている。
―――数分後。
アルスは一気に剣を抜き、鞘に収めた。
「アルス…。」
「爺さん、今までありがとうな。」
というと、
「アーデル。」
「は、はい!」
「その話、受けさせてもらうぜ。」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、目的もわかったことだしな。」
「目的?」
というと、アルスは静かにコクリと頷いた。
「行くんじゃな。」
「ああ。」
「そうか…。なら、これを持っていきなさい。」
というと、何かの機械と紅に染まったお守りを渡してきた。
「この機械は、お前さんの目的を示してくれるものじゃ。」
「このお守りは?」
「これはお前さんがもともと持っていたものじゃ。」
見るとしっかり自分の名前が刻まれていた。
「そうか…。」
「気を付けてな。」
「何かあったら、遠慮しないでここに戻っておいで。」
「勿論。」
外に出ると2人乗り用だろうか、車のような飛行機のようなものがそこにあった。
「私が乗ってきた宇宙船です。“アリアドネ”には5時間でつきます。」
「意外とかかるんだな…。」
「そりゃそうですよ、300光年ですからね。」
とか言いながらも、どこかその表情は笑って見えた。2人は船に乗ると、
「出発です!」
アーデルはそう言い舵を引いた。かくして、少年は旅立ったこれから起こることも知らずに…。
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